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とびひ

症例写真

とびひは医学的には伝染性膿痂疹と言って、細菌が原因の皮膚の感染症です。触るとうつって、火事の飛び火のようにあっという間に広がるから、一般的に“とびひ”と言われています。

1.とびひとは?

 とびひは、ブドウ球菌が原因で水ぶくれができやすいタイプと、溶血性連鎖球菌(溶連菌)が原因でかさぶたが厚くついて炎症が強いタイプがあります。ブドウ球菌タイプは、乳幼児・小児に、夏季に好発します。あせも・虫刺され・湿疹などをひっかいたり、転んでできたすり傷が化膿して、とびひになります。鼻孔の入り口には様々な細菌が常在しているため、幼児・小児で鼻くそをほじるくせがあると、鼻の周囲からとびひが始まったり、その手であせもや虫刺されなどをいじることでとびひになります。まず先に出来ていた傷が腫れたり、赤い斑点やぽつぽつの丘疹が生じ、そこに水疱ができて、つぶれてペロッとむけ、びらんになります。溶連菌タイプは、季節には余り関係なく、小児より成人に見られることが多く、しばしばアトピー性皮膚炎に合併します。比較的急速に発症し、紅斑、米粒大程の膿疱、びらんさらに厚いかさぶたを伴います。発熱、リンパ節腫脹、時に咽頭痛などの全身症状を呈することもあります。


2.治療

 通常のごく軽い場合には、抗菌薬の軟膏を1日に1~2回塗ります。水疱は小さなものは潰しませんが、大きな水疱はその内容液が周囲につかないように排出させます。的確な治療では4-5日で治りますが、なかなか治らない場合は、原因菌に抗菌剤が効かない場合がありますので、外用抗菌剤を変更します。どんどん広がる場合は抗菌薬の内服をします。 また、アトピ-性皮膚炎では、膿痂疹の合併により、かゆみの増強が著しくなるため、抗ヒスタミン剤・抗アレルギ-剤の併用も行います。溶連菌による場合は、ペニシリン系抗生物質がよく効きますので、内服、または症状が高度な場合は点滴静注をします。


3.日常の注意点

 手洗いの励行、爪を短く切って、掻破したり、皮膚に傷つけたりしないようにさせること、小児には鼻孔に指を突っ込まないように指導することなどが大切です。
入浴は病変部を清潔にするために必要ですが、湯ぶねに入らず、シャワ-がよいでしょう。特に夏は入浴し、皮膚を清潔にしましょう。兄弟姉妹がいる場合は、ほかの子供達が入浴したあとで入浴させるほうがよいでしょう。病変部は洗ってかまいません。せっけんを泡立てて、そっと洗います。入浴後は、滲出液などが周囲に接触しないように、患部に軟膏の外用、ガ-ゼなどの保護処置が必要です。

伝染性膿痂疹は学校感染症に分類されます。ほかの園児・学童にうつす可能性があるため、治療して、病変部をガ-ゼや包帯できちんと覆って露出しないようにしましょう。通常は学校を休ませる必要はありませんが、病変が広範囲の場合や、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群のようにひどい場合は休ませるほうがよいでしょう。なお、プールでの水泳は、肌と肌が接触する恐れがあり、病変の接触によって感染しますので、すっかり治るまで禁止です。



学校保健委員会から

皮膚の学校感染症とプールに関する統一見解(2013.05.22)
皮膚の学校感染症に関する統一見解 (2010.11.17)

学校感染症 第三種 その他の感染症:皮膚の学校感染症とプールに関する統一見解

お子さんとその保護者さん、
ならびに保育園・幼稚園・学校の先生方へ

皮膚の学校感染症について

 プールに入ってもいいの?

1) 伝染性膿痂疹(とびひ)

かきむしったところの滲出液、水疱内容などで次々にうつります。プールの水ではうつりませんが、触れることで症状を悪化させたり、ほかの人にうつす恐れがありますので、プールや水泳は治るまで禁止して下さい。

2) 伝染性軟属腫(みずいぼ)

 プールの水ではうつりませんので、プールに入っても構いません。ただし、タオル、浮輪、ビート板などを介してうつることがありますから、これらを共用することはできるだけ避けて下さい。プールの後はシャワーで肌をきれいに洗いましょう。

3) 頭虱(あたまじらみ)

 アタマジラミが感染しても、治療を始めればプールに入って構いません。ただし、タオル、ヘアブラシ、水泳帽などの貸し借りはやめましょう。

4) 疥癬(かいせん)

 肌と肌の接触でうつります。ごくまれに衣類、寝床、タオルなどを介してうつることがありますが、プールの水ではうつることはありませんので、治療を始めればプールに入っても構いません。ただし、角化型疥癬の場合は、通常の疥癬と比べ非常に感染力が強いので、外出自体を控える必要があります。

平成25年5月

日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会

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学校感染症 第三種 その他の感染症:皮膚の学校感染症に関する統一見解

お子さんとその保護者さんへ

皮膚の学校感染症について

 保育園・幼稚園・学校へ行ってもよいか? 休まなければならないか?

1) 手足口病

 手足の水ぶくれが消えて、口内炎が治っても、便の中には原因のウイルスが長い間出てきます。トイレで用を済ませた後は手洗いをきちんとしましょう。
 口内の発疹で食事がとりにくい、発熱、体がだるい、下痢、頭痛などの症状がなければ、学校を休む必要はありません。

2) 伝染性紅斑(りんご病)

 顔が赤くなり、腕や腿、体に発疹が出たときには、すでにうつる力が弱まっていることから、発熱、関節痛などの症状がなく、本人が元気であれば、学校を休む必要はありません。
 また、いったん消えた発疹は日光に当たったり、興奮したり、入浴後などに再び出てくることがありますが、これらは再発ではありませんので心配いりません。

3) 頭虱(あたまじらみ)

 互いに触れ合って遊ぶ機会の多い幼児・小児には最近ではよく発生します。発生した場合はその周囲がみんな一斉に治療を始めることが大切です。頭虱は決して不潔だから感染したのではありません。 頭虱だからと差別扱いしてはいけません。
 学校を休む必要はありませんが、できるだけ早く治療を受けてください。

4) 伝染性軟属腫(みずいぼ)

 幼児・小児によく生じ、放っておいても自然に治ることもありますが、それまでには長期間を要するため、周囲の小児に感染することを考慮して治療します。
 プールなどの肌の触れ合う場ではタオルや水着、ビート板や浮き輪の共用を控えるなどの配慮が必要です。この疾患のために、学校を休む必要はありません。

5) 伝染性膿痂疹(とびひ)

 水ぶくれや糜爛(びらん)からの浸出液を触ったり、引っ掻いたりすると、中の細菌で次々にうつります。特に鼻の入り口には原因の細菌が沢山いるので鼻をいじらないようにしましょう。
 病変が広範囲の場合や全身症状のある場合は学校を休んでの治療を必要とすることがありますが、病変部を外用処置して、きちんと覆ってあれば、学校を休む必要はありません

平成22年7月

日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会・日本皮膚科学会・日本小児感染症学会

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