学校生活における紫外線対策に関する
日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会の統一見解

お子さんとその保護者さん、ならびに学校の先生方へ

学校生活における紫外線対策に関する具体的指針

 紫外線対策は美容目的だけではありません。不必要に過剰な紫外線に曝露されることにより、健康にさまざまな悪影響が生じます。 子どもの時から適切な紫外線対策を行うことは、生涯にわたり健やかな肌を保つために大切な生活習慣の一つです。

1.屋外活動

1)時間を工夫する

 紫外線は、1日のうちでは早朝や夕方は非常に弱く、10時から14時が強くなります。なるべく紫外線の弱い時間に屋外活動を行い、 紫外線の強さを表すUVインデックスを参考にして強い時間に行う時は紫外線対策をきちんと行いましょう。
 1年の中では4月から9月が強く、皮膚は色素を増し角層(皮膚の最外層)が厚くなることで春先より夏から秋にかけて紫外線に対する抵抗力が強くなります。 運動会など、長時間、紫外線を浴びる行事は春よりも秋が良いでしょう。

2)場所を工夫する

 日陰は日向の約50%に紫外線が減るので、テントやパラソル、よしず等を積極的に利用しましょう。曇りでも晴天の80%以上の紫外線が出ているので対策は必要です。

3)帽子、服で覆う

 帽子のつばが7センチあれば約60%の紫外線をカットできるので、なるべく被るようにしましょう。七分袖や襟付きのように体を覆う部分の多い服のほうが紫外線から肌を守ることができます。 生地の色は濃い色のほうが紫外線を吸収しますが、熱中症の懸念から、白か淡い色のもので、織目や編目がしっかりした綿かポリエステル・綿の混紡素材のものを選ぶと良いでしょう。

4)サンスクリーン剤を上手に使う

 サンスクリーン剤の強さを示すSPFと紫外線防御能は直線的には比例せず、むやみに強いものを使わずともSPF15以上であれば学校生活における紫外線対策としては十分です。ただし、たっぷりと均一に塗らないと期待通りの効果は得られません(塗る量は顔ではクリームならパール大、液なら1円玉大を手のひらに取って塗り伸ばし、同じ量で二回塗りしてください。首、胸元、腕や背中なども塗り忘れや塗りむらがないように塗ってください)。屋外活動の15分前までに塗ると肌になじんで青白さが目立たなくなります。また、効力が弱くなったり、汗で流れたりもするので、2、3時間ごとに重ね塗りするとより効果的です。

2.水泳授業

最も肌を露出し、紫外線の影響を受け易いので、紫外線対策は重要です。

1)時間を工夫する

 紫外線の強い時間をなるべく避けましょう。

2)場所を工夫する

 室内プールの利用、プールの上に天幕を張るなどして泳ぐ時の紫外線を防ぐのが理想ですが、プールサイドにテントを用意すれば、泳がない時の紫外線から肌を守ることができます。

3)服で覆う

 プール外での体操着の着用や、泳ぐ時にラッシュガードを着用するのも紫外線防御に役立ちます。

*ラッシュガード:紫外線防御、擦り傷から肌を守ることを目的としてプールやマリンスポーツ時に着用する衣類。身体にフィットして濡れても大丈夫な素材でできたTシャツのようなもの。

4)サンスクリーン剤を上手に使う

 プールの水質汚濁が懸念されていますが、耐水性サンスクリーン剤を使用しても汚濁されないことは複数の実証実験で明らかになっています。 必要な時には使用を許可しましょう。塗る時間は午前の授業であれば通学前に自宅で、午後の授業であれば昼休みに場所を決めて塗るようにすると時間の無駄がなくて良いでしょう。

3.子どもが使うのに適したサンスクリーン剤

 集団生活で用いるのに適したサンスクリーン剤は以下の条件を満たすものが推奨されます。

① 「SPF 15 以上」、「PA ++ ~ +++」を目安
   普通の生活においては、むやみに SPF の値の高いものを使う必要はありません。
② 「無香料」and「無着色」の表示があるものに制限
③ プールでは「耐水性」or「ウォータープルーフ」表示のもの

 紫外線は必ずしも怖いものではありませんが、上手に付き合っていくことは重要です。特に紫外線に短時間当っただけで、真っ赤になるけれど色素沈着にならないお子さんのケアは大切です。

平成27年9月

日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会

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